【ウソ?ホント?】英語学習に関する誤解や迷信を辛口で徹底解説!
ネット上で英語の勉強方法について調べるとどれが本当かわからないくらい多くの情報に溢れています。英語学習者はその情報の真偽を判断しながら効果的に勉強をしていくことが求められます。
しかし、英語を身につけようとしている人が、情報の取捨選択をしていくのは非常に難しいのが現状です。英語学習に関する誤解は本当に多いからです。
そこで!この記事では巷に溢れる英語学習に関する誤解についてわかりやすくQ&A形式で解説していきます。
もし英語学習について、ここで解説する項目を誤解していたという人は、認識を改めるきっかけにしてみてくださいね。もしかしたら、あなたの英語力を伸ばす阻害要因になっているかもしれません。
目次
英語のシャワーを浴びれば浴びるほどリスニングが伸びる説
英語をとにかくたくさんシャワーを浴びれば、ある程度リスニング力が高まることは事実です。リスニング力を分解すると、以下の3つの要素に分解できます。
- 音を正しく聞き取る力
- 文の構造を瞬時に把握する力
- 単語を聞き分ける力
ここで英語を聞く量を増やすことで鍛えられる力は1つ目の「音を正しく聞き取る力」です。これは、例えばリエゾンと呼ばれる音と音がくっついて発音されるものなどを正しく理解する時に必要となる力です。
一方で、文の構造を瞬時に把握する力や単語を聞き分ける力はいくら多聴を続けても身につくものではありません。文の構造を瞬時に把握するためには、文法の知識が必要ですし、単語を聞き分けるためには単語の意味を知っている必要があります。
文字で読んでも意味がわからない文章を何回聞いたところで、意味がわかるようには絶対になりませんよね。
なので、英語のシャワーを浴びれば浴びるほどリスニングが伸びるかと言われば、ある程度は伸びますが、頭打ちになって一定以上のリスニング力には繋がりません。
ネイティブから教えてもらうことが英語習得の近道説
英語初学者にありがちな誤解が、「英語を教わるならやっぱりネイティブだよね」という幻想です。
結論から言えば、ネイティブから教えてもらうことが英語習得の近道だとは考えない方がいいです。なぜなら、ネイティブは当然英語を母語として習得してきたため、苦労して英語を勉強したという経験がないからです。
そのため、ネイティブには感覚的にわかって当然のことが私たち英語学習者にとって腑に落ちないこともあります。また、英語を習得する上で、どこが躓きやすいかということがわからないので、教えるポイントがずれていることも多いです。
なので、初学者であればあるほど、ネイティブに教えてもらうのではなく、勉強して英語を身につけた経験のある人に教えてもらうことをお勧めします。ネイティブの先生に教えてもらうと効果が高いのは、英語上級者です。ネイティブが多用する表現などを勉強するのに適しています。
もちろんネイティブの中には、第2言語習得論をしっかりと学んで教えてくれる人もいますので、全てのネイティブが教えられないというわけではありませんが、外国語として語学を身につけるのと、母語として身につけるのでは雲泥の差があるということを覚えておきましょう。
勉強すれば誰でもネイティブ並みの英語力を獲得できる説
残酷なようですが、いくら一生懸命勉強したとしてもネイティブ並みの英語力を獲得できるのは一握りの人です。特に社会人になって英語を勉強し始めたという人はネイティブ並みの英語力を身につけるという目標は捨てた方が賢明です。
ネイティブに憧れるのはわかるのですが、ネイティブ並みの英語力を身につけることを目標とするよりも、英語を使って実現したいことに最低限必要な英語力を身につければ十分と割り切ることが大切です。
それよりは、通じる英語を目指した方が現実的ですし、通じる英語で何をするかの方がはるかに重要ではないでしょうか。目指すのはネイティブ並みの英語力ではなくネイティブとコミュニケーションを取れる英語力ではないでしょうか。
世界の英語人口の中で、ネイティブスピーカーの割合は30%ほどと言われています(参考日経Bizアカデミー)。約10億人は非ネイティブ圏の英語話者であり、これらの人たちと英語を使って話をするのにネイティブだけに通じる「英語らしい」表現は不要です。
赤ちゃんの言語習得過程を真似れば英語が身につく説
語学学習における臨界期という言葉をご存知でしょうか。簡単に言えばある一定の年齢を超えると語学習得能力が著しく減少してしまう時期のことです。この臨界期に関する実験データを2つ紹介したいと思います。
一つ目が、ワシントン大学のKuhl教授がTEDカンファレンスにおいて行なったプレゼンテーションによれば、語学の習得能力は7歳を過ぎると一気に落ちると発表しています。
以下はプレゼンテーション内で使用されているグラフを抜粋したものですが、7歳から一気に下降しているのがわかりますね。そして悲しいことに17歳を過ぎると言語習得能力は非常に低いという研究結果となっています。
(出典:TED)
もう一つの実証データが“Economic, neurobiological, and behavioral perspectives on building America’s future workforce”という論文に掲載されたものです。
これは中国および韓国からアメリカに移住してきた年齢と、英語テストの点数の関係性をグラフ化したものです。これもKuhl教授の研究結果と非常によく似た結果になっていることがお分かりいただけると思います。
これら2つのデータからわかることは、赤ちゃんの言語習得能力と大人の言語習得能力には圧倒的な差があるということです。そのため、大人が赤ちゃんと同じような言語習得過程を辿ったとしても英語が話せるようにはならない可能性が高いのです。
逆に子供に英語を習得させたいと考えている人は、7歳までであれば、赤ちゃんと同じように大量の英語を聞かせることで自然と英語を身につけられることができると言えます。
英会話に文法はいらない説
ちまたに溢れる英語学習の本によく謳い文句として記載されているのが、英会話に文法はいらないということ。しかしこれを鵜呑みにするのは危険です。
文法は文を作る上で絶対に知っておかなければならないルールです。文法を知らないと正しい英文を作ることができないので、自分の言いたいことを正確に伝えることができません。
先ほどアメリカに移住していた年齢と実験データの相関図を紹介しましたが、この実験データについて研究を進めていた、言語学者の白井恭弘教授は「外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か」という著書の中で以下のように述べています。
十六歳以降にアメリカに移住した人(=大人になってから英語の勉強を始めた人)については適性テストの得点が高い人だけ、つまり文法分析能力の高い人だけが英語ネイティブに近いレベルまで達した
つまり大人になってから英語を身につけようとすれば、文法の勉強は必須と言えます。
英会話に文法がいらないと言っている人は、英会話をしている気になっているか、相手が相当合わせて話してくれているかのどちらかです。表面的な挨拶や受け答えをするのであれば確かに文法は知らなくてもいいかもしれません。
しかし、自分の意見を伝える必要があるような込み入った話をする際には、基本的な文法知識がないと全く相手に理解されません。
だからといって教科書的な文法用語(「第何文型」や「過去分詞」などの用語)を知っている必要はなく、またマニアックな文法を勉強する必要もありません。それこそ義務教育で学習するような基本的な文法知識で十分ですが、全く文法が不要という論調は誤っています。
学校で習った英語使えない説
「学校で教えてくれなかった本当に使える英語」みたいな本が出ていますが、学校で習った内容は英語の基礎固めとして十分です。逆に言えば、学校英語で習った内容が頭に入っていないとなかなか伸びません。
確かに学校では、正確に文章を読むことに主眼が置かれており、ネイティブとコミュニケーションを取れるような日常表現をあまり教えてくれないという課題はあります。また、発音やイントネーションに関する教育も十分ではない印象です。
とは言え、学校で習う英語は基礎中の基礎ですから、まずは学校で習ったことをしっかりと自分のものにすることが英語学習の第一歩です。学校で習ったことが実用性がないわけではなく、それを使いこなせるレベルにまで引き上げていないことが問題です。
留学すれば英語が身につく説
英語を話せるようになりたいから留学をしたいという人は多くいますが、留学したからと言って英語が話せるようになるとは限りません。留学をしても思ったほど英語力が上がらなかったとショックを受けて失意の帰国をする人は大量にいます。
留学をすると現地で生活するため英語を話す機会は日本にいるよりも格段に増えるのですが、生活に必要な言葉は実は限られています。
いつも同じような言葉を使えば生活できるようになってくるので、自分で向上心を持って留学しても英語の自学をするという心構えがないとなかなか効果が出ないのです。
また、留学する前の英語力が低い人も失敗しやすいパターンです。英語の基礎力が十分ではないまま留学してしまうと、あまりの自分の英語の話せなさに愕然としてしまい、自分の殻にこもってしまう恐れがあります。
留学して何を得たいのかをまずは明確にする必要があります。留学して英語を話す機会を増やしたいということであれば、日本で外国人の友達を作ったり、オンライン英会話で英語を話す環境を整備することで事足りる場合も多いですし、費用も安くなりますよね。
英会話に暗記は不要説
英語の勉強に暗記は不要だと考えている人は多いとおもいます。しかし、英語の勉強に暗記は不可欠だということを声を大にして言いたいです。
半年で英語を習得し、18ヶ国語を操ったという語学の天才シュリーマンの勉強方法は以下のようなものです。
(1)非常に多く音読すること
(2)決して翻訳しないこと
(3)毎日1時間あてること
(4)常に興味ある対象について作文を書くこと
(5)(4)で作成した作文を教師の指導によって訂正すること
(6)前日直されたものを暗記して、次の時間に暗唱すること引用シュリーマン伝(ルードヴィヒ著/秋山英夫訳)
シュリーマンの勉強方法をまとめると、自分の興味のある対象について作文を書き、それを添削してもらった上で、添削後の文章をひたすら暗唱することです。暗唱することで自分の話したいことが口からスムーズに出てくるよう徹底的にトレーニングしていることがわかります。
日本語であっても、定型文ってありますよね。「誠に僭越ながら」とか「足を引っ張る」とかいちいち意味を考えずに文脈にあった言葉を選択します。それと同じで英語を習得しようと思ったら、いかに何も考えずに出てくる定型文をストックとして持っているか、が重要です。
このストックが多ければ多いほど、応用力もききますし、表現力も高まります。単語を少し入れ替えるだけで間違いのない文章を話すことが可能になります。
さいごに
- 英語のシャワーを浴びれば浴びるほどリスニングが伸びる説
→聞き取れない英語はいつまでたっても聞き取れません - ネイティブから教えてもらうことが英語習得の近道説
→ネイティブから教えてもらうことが必ずしもいいことではありません - 勉強すれば誰でもネイティブ並みの英語力を獲得できる説
→社会人が英語を身につけるのであれば目指すところはそこではありません。 - 赤ちゃんの言語習得過程を真似れば英語が身につく説
→赤ちゃんと大人では言語習得能力に差があるので無理です。 - 英会話に文法はいらない説
→自分の言いたいことを正しく伝えるためには文法は必須です。 - 学校で習った英語使えない説
→英語に関する基礎知識は学校英語で十分です。 - 留学すれば英語が身につく説
→留学しただけで英語ができるようになるというのは幻想です。 - 英会話に暗記は不要説
→英会話に暗記は必要です。