【レビュー・書評】即戦力がつくビジネス英会話:日向清人氏の名著、ビジネス英会話書籍No.1
- 著者:日向清人
- 出版社:アルク
- ページ数:392ページ
- ジャンル:ビジネス英会話
- 対象レベル:初心者〜中上級者
このページでは「即戦力がつくビジネス英会話」のレビュー・実際に利用した書評・こんな人におすすめの書籍だよ、ということについて解説していきます。
目次
即戦力がつくビジネス英会話の特徴
ビジネス英語関連の良書をたくさん書いている日向清人氏の名著
ハードカバーで約390ページのボリューム。6つの章から成り、第1章がビジネスコミュニケーション入門、第2章が社外とのコミュニケーション、第3章が社内でのコミュニケーション、第4章が会議で使う言い回し、第5章が交渉で使う言い回し、第6章がプレゼンテーションで使う言い回しになっています。
全部で52のセクションがあり、それぞれのセクションがダイアローグ、フォーカス、チェックアップの3ステップから構成されています。
ダイアローグには1ページ弱の会話が記載されていて、付属のCD音声で約1分間の長さです。フォーカスでは基本フレーズが2ページにわたって紹介されます。
チェックアップでは本文の穴埋め形式となっていて、ディクテーション(音声を聞いて書き取る)が課されます。CDが2枚ついていて、ダイアローグはもちろんのこと、フォーカスの基本フレーズもすべて音声がついています。
本書の肝は基本フレーズの反復練習にあり
著者の日向清人は、フォーカスに記載された基本フレーズの反復練習を推奨しています。基本フレーズを繰り返し音読し、いちいち考えなくても実践でぱっと口に出てくるレベルに達することが望ましいそうです。
例としてもちだされた戦時中のアメリカ海軍日本語学校の印象が強烈。キーン、サイデンステッカー、ライシャワーといった日本語の達人を輩出した学校ですが、そこでは1日14時間、年に50週で新聞を読み日常会話をこなせるようになる速習プログラムを実施していたといいます。
そして日本語学習の柱は口頭による反復練習でした。彼らほどの努力をするのは非現実的だとしても、同じメソッドで訓練することで大きな成果が期待できます。
この本のおかげでリスニング力が大幅アップ
実は私の場合、フォーカスの基本フレーズではなく、ダイアローグの会話を中心に学習しました。もともとリスニングが苦手で、なによりもリスニング力を伸ばすことを目的として本書を購入したからです。
話し手は6人ぐらいいます。男性が3人、女性が3人です。おかしな癖も少なく、聞きやすいきれいな英語だと思います。イギリス英語やオーストラリア英語など必要以上に癖の強い音声が収録されている教材もめずらしくありませんが、この本の場合はその心配はありません。
ダイアローグの勉強の仕方はかんたんで、単純なリスニングとシャドーイングを繰り返すというものです。まず何も見ないで音声を聞きます。次に本文を参照しながら音声を聞き、最初に聞き取れなかったところにはチェックマークをつけます。それから本文を見ながら音声と同時に音読し、最後に本文を見ないでシャドーイングします。これでその日の基本的な学習はおわり。
あとは外出中などにその日学習したダイアローグを繰り返し聞き流すだけです。これを繰り返すことで、本書を1周するころにはリスニング力が大幅にアップします。
即戦力がつくビジネス英会話はこんな人が使うと効果的
英語を使うビジネスマン
この本は実践的なビジネス英語のテキストですから、だれよりもまずビジネスマンにおすすめです。英語を使う必要に迫られたビジネスマンの方は、まずこの本でビジネス英会話の基礎を固めるとよいでしょう。
英語を使う企業への就職を目指している学生
英語を使う企業への就職を目指している学生さんにもおすすめ。文章自体はむずかしくないので、高校までの英語がしっかりしていれば本書に取り組むことも容易なはずです。学校在籍中にビジネス英語の基礎を固めてしまえば、その後がだいぶ楽になることでしょう。
英検やTOEICの受験者
また英検やTOEICなどの試験はビジネス英語がよく登場するので、そういった試験の受験者にもおすすめできます。とくにリスニングの力を伸ばすのに役立ちます。
ビジネス英会話の実践練習にはオンライン英会話
使い方としては、独学で音読やシャドーイングをしていきながら表現を自分のものにしていくのが良いかと思いますが、この本の一番の欠点が「アウトプット練習ができないこと」です。
確かにシャドーイングなどを繰り返すことで良質なビジネス英会話をインプットすることはできるのですが、実際に使ってみないと使いこなせるようにはなりません。
そのため、一番おすすめなのは「オンライン英会話と並行して使う」ということです。この本を使ってインプットをしつつ、オンライン英会話で学んだことを実践してみるというスパイラルが効果的です。
テキスト内で出てきた表現を使った英文を作り、オンライン英会話の講師に添削してもらうことで、より定着が図れますよ。
この本を手に取ろうとしている人へ
英語教材ジプシーになっていませんか?
この本は非常に質が高く、やり抜けば英語ができる可能性があります。
しかし、あなたが今まで色々な書籍や教材を試してみて、英語が中々できるようにならず「この教材なら英語が身につくかなぁ」とこの本を手に取ろうとしているのであれば、ちょっと待ってください。
もしかしたら、あなたは英語教材ジプシーになっているかもしれません。英語教材ジプシーとは、英語の勉強が目的になっており、いろいろな英語勉強法や英語教材に目移りしてしまい、肝心の英語が身につかない人です。
英語ジプシーの人は、このまま何年勉強しても英語ができるようにはなりません。「英語の正しい勉強の仕方を知らない」または「英語学習方法に迷ってしまっている」状態になっているからです。
この状態を抜け出すためにはコーチング英会話スクールに行き「英語学習の専属コーチ」に頼ることが一番効果的です。
短期的には高額となりますが、このままダラダラと数年間身につかない英語を勉強するより、2ヶ月〜1年間でスパッと英語を身につけて、「本当にやりたいことをやる」という次のステージに早めに行くことを考えてみてはいかがでしょうか。